タヌキが現在のような滑稽なイメージになったの
は、実は近世以降のことであり、我々の知るよう
なイメージが古代以来伝えられたものと考える
のは誤りであるという。
江戸時代になって、民
俗イメージの中のタヌキは腹がふくれ、大きな陰
嚢をもつようになり、やがて「腹鼓(はらつづ
み)」まで打つようにまでなったが、鎌倉・室町時
代の説話に登場するタヌキには、ときに人を食
うこともあるおどろおどろしい化け物としてのイメ
ージが強い。
御伽草子の「かちかち山」前半の凶悪なタヌキ
は、おばあさんを騙して殺し、さらにおじいさん
を騙して「婆汁」を食わせるが、そのような中世
のタヌキ・イメージの名残りを留めるものと見て
よいだろう。